鯖ビアーン


しめさばについて

<しめ鯖作りへの疑問>
 「しめ鯖」と検索すると、インターネットでは、沢山のページが見つかる。そのうちの1/3程度は、しめ鯖の作り方書いたレシピであったりする。料理の本を開いても、WWW上のレシピも、どれも大差はないものばかりだ。要するに鯖を3枚におろし、塩を振り、しばらくして酢に浸ける。それだけのことで至ってシンプルなものである。しかしながら、塩や酢に浸ける時間は実に千差万別である。本来これは、さばの大きさや厳密には気温などによっても変わる物なのだろうが、そんなことを無視してもあまりにもその時間に差がありすぎるようにおもうのだ。はたしてどれを信じるべきなのか全く検討もつかない。

<浸ける時間>
 以前、近所の旅館の板前がこんなことを言っていた。「しめ鯖は酢で〆るのではない。塩で〆て、酢で洗うのだ」。なるほど確かに酢には殺菌効果があり酢で鯖の生き腐れを防いでいるようだが、塩によって一時処理されているのだから、この言い方は正しいのかもしれない。つまり、酢はうまみを生かすためであり、同時にいっそうの殺菌効果も果たしてくれる優れ物なのかもしれない。
 それでは、どのくらいの時間塩や酢に付けるべきなのだろう。また、単純に時間だけではなく、少量の塩を長時間浸けるのと大量の塩を短時間で浸けるのとどちらがいいのだろうか?私は今は亡くなってしまった祖母が良く一晩塩に浸けて、30分程度酢に浸すとよく言っていたことを思い出した。確かに鯖寿司で有名な京都の鯖は、日本海で捕れた鯖に直ぐに塩を打ち、一晩かけて京都に運ばれたという。そのようなことから、塩に一晩つけるというのは正しそうだ。少なめの塩でこの方法を実施してみたが、どうも今一つのように思えてならない。酢との相性が良くならないのだ。
 ということは、酢に浸ける時間もある程度必要なのだ。塩の場合もそうであるが漬ける環境として常温がいいのか、冷蔵庫の中がいいのかも良くわからないし、これはこれらの成分が鯖に浸透する速度に大きく影響すると思われる。
 ますます、難しくなってきた。

<材料の吟味>
 シンプルな料理なだけに材料を十分吟味することがきっと大きな鍵になるに違いない。
 鯖は勿論、新鮮で脂がのった物である必要がある。一般によく見かける真鯖以外に胡麻鯖といわれるものがあるが、これは身が崩れやすく、あまり〆鯖には向かないようだ。
 数ある調味料のなかで酢ほどこだわる人とそうでない人の差が大きいものは無いと思う。一般的に売られている大きなメーカーの米酢や雑穀酢以外に実に沢山の酢が存在する。日本酒がブームになり、様々なことを言う人がいるが、酢についてしゃべれる人は以外と少ない。日本酒と同じくらい少量製造でも熱烈なファンがいるのが酢である。買おうとしても2年先まで予約でいっぱいというところもあるそうだ。そこまでこだわらなくても、できるだけ工業的につくられたものは避けたい。
 次に塩であるが、これもこだわると結構大変。天然塩だの岩塩だのいろいろなものが存在する。果たしてどの塩がもっとも適当なのか皆目検討がつかない。
 最後に砂糖である。砂糖の使用の是非は、後で述べるが、これも一般に使われる白い砂糖以外に三温糖やザラメ、黒砂糖などがある。また、真空パックになっている〆鯖等の成分表示を見ているとこれ以外の甘味料も使われているようだ。このあたり、どれが適しているかさっぱりわからない。

<砂糖の是非>
 様々な〆鯖のレシピで大きな違いとして挙げられるのが、最後に浸ける酢であると思う。単純に酢に付けるという場合と、砂糖などの入ったいわゆる三杯酢につけるというものがある。中には、はじめに酢だけに浸け、その後三杯酢に浸け直すというのもある。
 酢だけに付ける方が正当派のような気もするが、私は三杯酢の方を支持する。

<その他の工夫>
 その他の工夫として酢に付ける時に昆布を一緒に浸けうまみを増す方法がある。これは私も実践している。他の海草も一緒に浸ける方法もあるが、あまり複雑な味にしない方が良いと思う。
 もう一つ私がやっているのは、〆鯖用の合わせ酢を繰り返し使うことである。浸け終わった酢を捨てずに瓶に入れて冷蔵庫内に保存し、次に浸ける時にまたそれを使うのだ。〆鯖に添えるキュウリなどに使ってもいい。減った分を再び補い、繰り返し使用する。時々瓶の底に貯まるカスを取り除き使い回すのだ。マイルドな味が楽しめる。意外なことに、この酢は生臭くはならない。

<現状のまとめ>
 結局、まだまだわからないことだらけだ。人に聞き、自分で試しつつ、このページを改訂して生きたい。
 お勧めの作り方などある方、mailをお待ちしています。


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